TIM SCHRICK: 世界でたった1台、フラット6 SUBARU BRZ でレースに挑む
12.05.2021
Tim Schrick は、ルーツレーシングチームを代表するドライバーの一人。ニュルブルクリンクのエキスパートであると同時にスバルのワークスドライバーでもある。今年のNLS(かつてのVLN)シーズンにむけて、人気車種BRZのフラット6バージョンが造られた。
私の知る限り、BRZは全てフラット4を搭載してると思っていましたが、あなたのフラット6BRZについて聞かせてください。
これはSP3クラスで2連覇したクルマを進化させたものです。もっと進化させるために、クルマを追いこんでみようとパワーアップさせました。もちろんターボチャージャーを追加するほうが簡単でしたが、自然吸気のNAエンジンのパワー感がたまらなく好きなので、もともとフラット4だったのを、フラット6に交換しました。スバルも、過去に6シリンダーモデル(水平対向6気筒)を製造したことはあまりありません。製造していたのもほんの短い間でした。エンジンはEG33型 (アルシオーネSVXに使用) を基にしていて、正直言うとインプレッサやその他のスバルの車種でおなじみEJ20型に近い点がある。 レギュレーションに合わせるために、エンジンを3.3 リッターから3.0 リッターに シリンダーライナーを使って変更しなくてはならなかった。このエンジンを使う利点はフラット6だから車の低位置に搭載でき、重心が低位置に保てることです。
パワーアップさせるためには、もっと簡単な方法もあったと思います。このエンジンにした理由は何ですか?挑戦という思いもありますか?
人生そのものが大きなチャレンジだと思いませんか? (笑) このクルマでレースができるかやってみたかったんです。エンジニアリングやレースの世界において、いろいろある中でも4気筒は、もっとも一般的で普通。だから僕はもっとやってみたかった。6気筒エンジンを試したかった。ご存知のとおりドイツの世界的メーカーがフラット6を製造しています。僕も何台か所有したことがありますが、そのエンジンの感触とエンジン音のとりこになっています。僕たちのBRZも今はポルシェのような音がします。フラット6エンジンの燃焼の順序が常に一定だからです。
自分たちでレースカーを造るチームは珍しいと思いますが、この道を選んだ理由は何ですか?
ルーツレーシングの哲学の一つです。NLSグリッドや他のどんなシリーズを見ても、ほとんど既成のレーシングカーばかりです。つまり、レースカーはメーカーから購入できる。ポルシェやアウディに行って、Cayman GT4 とか A3 LMS が欲しいと言ってお金を払えば入手可能です。
でも、かつてはそうではなかった。普通のロードカーを買ってそれをレース用に改造してレースに挑んでいました。その方がワクワク興奮しますよね。
なんだかクルマ造りをレースと同じくらい楽しんでいるようですね?
そのとおり!! 楽しみの半分を占めています。父が熱力学のエンジニアだったので、エンジニアやエンジンに囲まれて育ちました。なのでエンジンの組み立てやクルマ造りは親譲りだと思います。エンジンの潤滑に関しては、MOTUL製品を大いに頼りにしています。
とにかく自分でクルマを造って、レーストラックでレースできる、というのは最高です。それで優勝できたらもっと最高な気分になれますね。もっと言えばレースで僕らのお手製のスバルで既製品のレーシングカーを追い抜いた時は、絶頂の気分を味わえるでしょうね。(笑)
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