ロニー・クインタレッリ選手: "エンジンが限界まで追い込まれた時、オイルの性能が成功のカギとなる!!”
15.10.2020
ロニー・クインタレッリ選手はヨーロッパ カート選手権でのシリーズチャンピオンや世界選手権、フォーミュラ・ルノー等での活躍の後、18年前にイタリアから日本へと活動の場を移しました。その後、全日本F3選手権への参戦やフォーミュラ・ニッポン、SUPER GTへと活躍の場を広げてきました。2013年からはNISMOのファクトリーチームのドライバーの1人としてSUPER GTに参戦しています。
ロニー・クインタレッリ選手はチームメイトの松田 次生選手と共にシーズンを通して、勝利に向け懸命にプッシュしています。
今回はそんなロニー選手にレースで勝つための重要な要素に関してお話を伺いました。
ロニーさん、コロナ禍は今年のレースにどの様な影響をおよぼしましたか? また、レース現場は平常時と同様に戻り始めていますか?
スケジュールに関しては3月から6月末までレースが中止となりました。それにより僕らのレーススケジュールは大きく変わりました。また、マレーシア・タイでのレースは渡航制限に伴い、キャンセルとなりました。
国内外の7つのサーキットで8戦開催する代わりに日本国内のみで8レースを実施。そのうちの4戦は富士スピードウェイで開催されます。
公共交通機関での移動は制限され車での移動を余儀なくされました。ただ幸いな事に6月末のテスト再開でレース活動を再び始める事が出来ました。
今までの不運を断ち切り、鈴鹿サーキットでは勝利を収めましたね。GT-Rは鈴鹿サーキットの様なテクニカルなサーキットを得意としているのでしょうか?
僕らのマシンはコーナリングスピードの点でとても優れています。ただし長いストレートでは最高速が足りなかった。富士の様な約1.5㎞もの長いストレートがあるサーキットでは貴重なタイムを失ってしまいます。
鈴鹿では僕らにはとても競争力がありました。確かに鈴鹿はテクニカルなサーキットですがそれよりも目論見が完全にハマった感じです。ミシュランのタイヤは高いグリップ力を発揮し、限界まで攻め切る自信につながりました。2年振りに優勝した事はチームのクルー全員にとっても非常に嬉しい事でした。
シーズンの折り返し地点ですが、ランキングは現在トップと22ポイント差の9位。タイトルはまだ手に届く範囲ですが、それに向けていま必要なものは何ですか?
僕らはまだ優勝を目指して活動しています。F1の様にシーズンを通して車重ハンディキャップが無い他のモータースポーツと違いSUPER GTのレギュレーションにはポイントを多く獲得しているチームの車両に追加のウェイトを積む規定があります。
この事によりリードする車が遅くなり、追う車が速くなるわけですが、この規定がレースをよりエキサイティングにし、ファンを魅了しています。最終戦では全ての車両がウェイト無しとなる為、純粋な性能で戦うレースとなります。
僕らは現在9位におり、マシンに50㎏のウェイトを積んでいる為、容易ではありません。ただし、リードしているマシン達が遅くなるにつれ、チャンスも巡ってきます。これはとても壮観でレースの世界でも非常にユニークな事です。
2020年仕様のGT-R NISMO GT500はグリッド上でも“ベストルッキン”なマシンの1台ですが、見た目に違わずドライバーにとってはやはり“ビースト”なのですか?
とても素晴らしいマシンですよ!!
2014年以来、僕らはより剛性を高める為、モノコックシャシーを採用しています。
DTMなどのレースと違い、メーカー毎の空力開発が許可されている部分もあり、マシンに巨大なダウンフォースを与えます。
僕らと共にタイヤ開発を担うパートナー ミシュランのスリックタイヤは強大なグリップ力をマシンに与えます。このタイヤはフードの下の550馬力をコントロールするには必要不可欠です。
この質問に答えるならば、Yesですね。ドライブするのがとても楽しい。マシンに乗り込む度におもちゃを手にした子供の様に大きな笑みを浮かべてますよ!!(笑)
僕はこのマシンに乗れて本当にラッキーですね。
SUPER GTはロニー選手が出場してきた他のレースとどの様な点が異なりますか?
僕らは膨大なテストと開発を行うファクトリーチームでドライブしています。
SUPER GT GT500は日本で非常に人気があります。CSで生放送されていて日曜日の夜には地上波で専門の番組があります。観客もとても多く、レースの後にはグッズを配ったりしています。
2020年仕様の23号車(GT-R NISMO GT500)も“Motul car”として広く知られており、日本では非常にアイコニックなカラーリングです。
Motulがパートナーとなる事でレースでの成功にどの様な違いがありますか?
MotulはTeam NISMOのテクニカルパートナーです。
それは僕らにとっては非常に洗練されたエンジンをドライブする事を意味します。550馬力以上の出力で300㎞~500㎞を走り続ける事でエンジンは限界まで追い込まれるため、成功には非常に重要なカギとなります。
レースにとって潤滑油の選択はどれほど重要ですか?
優れたオイルは成功へのカギの一つです。ファクトリーチームは新規開発を絶え間なく推し進めています。シーズン通して2基までしかエンジンを持つ事が許されていない為、耐久性が非常に重要となります。Motulはエンジンの主要部品の潤滑を担っています。両方のエンジンを壊してしまうとその時点で、シーズンが終わってしまいます。
信頼性は僕らのレースの鍵となります。その為、NISMOとMotulは共同で開発を行っています。NISMOとMotulのエンジニアは常にエンジン性能の限界を引き上げる為にオープンなつながりを持っています。
僕らは一緒のチームとして常に改善し続けようとするサポートにとても満足しています。